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京劇の基礎知識

2.京劇の特徴

演技、舞台、音楽、楽隊などすべてにわたって程式(決まり)化している。

演技と舞台

 京劇の舞台は、大掛かりなセットがない。すべてが人間に集約されている。

 例えば「馬」の表現は、「馬鞭」という50センチくらいの棒に房がついているものを用いる。それは馬そのものを表し、時には鞭を表す。馬を連れてくる、乗る、走らせる、馬から下りる、などはすべて馬鞭を使って決まった動きで表現されるのである。

 その動きは観客にとって見やすくデフォルメされてかつ見栄えよく美しく形式化されていく。これが演技における程式(決まり)というものである。実物を用いないで表現する写意性、人間の持てるすべてを使う総合性などが特徴である。

 舞台は時間と空間を超越している。

関連ページ→[コラム―舞台論 舞台と映像]、[コラム―実践篇 女性役の手振り]

音楽

 中国では地方によってその色合いが異なるということを先に述べたが、大きく分けて系統は二つ、北と南である。カンタンに言うと北は高音で激しく、南は低音でゆったりしたリズムである。

 京劇には主に二つの節がある。「西皮」と「二黄」と言う。京劇が「皮黄戯」と呼ばれる所以である。「西皮」は快濶で激しい感じ、「二黄」は落ち着いた静かな感じがする。

 四分の二拍子を「原板」、四分の四拍子を「慢板」というようにリズムによって呼び名がある。「西皮」の四分の四拍子なら「西皮慢板」、「二黄」の四分の二拍子なら「二黄原板」となる。他に「反西皮」、「南bang[木+邦]子」といろいろある。

 それぞれ基本的な前奏や間奏は決まっており、行当(役柄)をはじめとして芝居や流派、俳優によってつけられる味の違いによって微妙に異なる。

関連ページ→[コラム―分析篇 うた―「唱」と「歌」の違い]

楽器

 楽器には打楽器の鼓板、小鑼、大鑼、鐃boの武場」と弦楽器の京胡、京二胡、月琴、三弦の「文場」がある。他に管楽器の笛、笙、suo吶、海笛子、雲鑼などがある。

 武場のメインが鼓板、つまり単皮鼓と檀板である。単皮鼓はバチでたたき、片手で檀板を鳴らすこの二つはセットである。いずれも上手くないといい音は出ない。

 鼓師は指揮者の役目をしているが、音楽だけではなく音によって芝居で大事な「間」を作る。つまり芝居にリズムを与えているのである。叩き方にも「鑼鼓経」という決まったものがある。それぞれの芝居のそれぞれの場面で、どう叩くのかを鼓師は当然ながらすべて把握し、暗記しているのである。

 文場のメインは京胡である。直径5センチくらいの竹の筒に竹の軸が付いている。弦は二本で、馬の尻尾で出来た弓をその間に挟み込む。手前の内弦は低い方の音、外側の外弦が高い方の音である。

 京劇の主な二つの節「西皮」と「二黄」で筒の大きさが違う。「西皮」用のほうが少し小さい。

 弦に指をあてない状態で「二黄」は内弦をソ、外弦をレ、「西皮」は内弦をラ、外弦をミ、「反二黄」は内弦をド、外弦をソに見立てる。しかしこれは絶対音感ではなく、俳優のノドに合わせて調律する。

 琴師も鼓師と同じようにすべてを把握し暗記しているものだが、一般に使用する楽譜は「簡譜」と言ってアラビア数字で記されているものを使用している。1=ド、2=レ、3=ミ、4=ファ、5=ソ、6=ラ、7=シとなり、オクターブが上がると数字の上、下がると下に「・」がつく。一唱節は線で仕切られ、装飾音は右上に小さく書かれている。

関連ページ→[コラム―実践篇 京胡とワタシ]

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2002/09/01