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コラム―分析篇

うた―「唱」と「歌」の違い

 中国語で歌謡曲などの「ウタをうたう」と言うのは「唱歌」、京劇の「ウタをうたう」と言う場合は「唱戯」と言って区別します。この「戯」とはまさに芝居のことです。歌謡曲などの一般に言う「歌」ち京劇の「唱」の違いは一体どんなものなのでしょうか。難しいですがちょっと考えてみたいと思います。

 まずは中国語について見てみましょう。中国語を勉強すると最初に「声調」というものを学びます。全部で四つあって、第一声が医者が診るのに「口を開いて〜ハイ、声出して」と指示されたときの「アー」、第二声がビックリしたときの「エー?」、第三声がため息をつくときの「ア〜ァ」、第四声がカラスが鳴く「カァ」というアレです。同じ「ma」でも「声調」が違えば「ママ」だったり「馬」だったりまるで意味が違ってしまいます。このように中国語は音楽性が実に高いものなのです。

 もともと音楽性が高い中国語ですが、「歌」となるとメロディーが優先で歌詞はメロディーにのせることになります。「じゃあ『声調』を無視しちゃうわけだから聴いても歌詞の意味はわからなくなるわけ?」という疑問が沸きます。中国人の友人に聞いてみると、歌詞は単語が連なって意味があるわけですから「一体何言ってんだかワカンナイ」ということはないそうです。

 京劇の「唱」というのは、対句を成して韻を踏んでいる詞の一時一時の母音、子音、声調を重視します。そして伝統的な一定の節回しをつけて「うたう」のです。「歌」のようにサビがあってそれを繰り返す、とかいうのはありません。

 また、京劇はウタだけではなく台詞を口にするにもリズムを持っています。所謂「台詞がウタとなてウタが台詞となる」ということでしょうか。京劇の台詞回しにも種類があって、「韻白」は子音を変えたり声調を変えたりとまさに独特です。ですから「中国語を勉強しているけど全然聞き取れない〜」と言う人がいますが、北京語をもととした「京白」ならばともかく、「韻白」が聞き取れないのは無理もありません。

 若い世代が京劇を見ても聴いてもワカラナイ、というのは唱詞や台詞回しにおいてそれだけ時代が違うというギャップの表れでしょうね。今はどこの劇場も舞台横に電光掲示板の字幕がありますが、昔はそのようなものはもちろんなかったわけですから。

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 2002/09/01