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2003年2月1日から2月6日にかけて北京の長安大戯院で「宰相劉羅鍋」の公演がありました。 賀歳京劇連台本戯「宰相劉羅鍋」という芝居
新作の京劇です。中国ではまだ珍しいロングラン形式の公演が試みられ、上海、南京、台湾など各地で公演されて好評を博しました。数ある新作の中で大成功を収めたといえる芝居です。 ○ 「賀歳京劇連台本戯」とは? 中国では新暦の元旦よりも伝統的に旧正月の「春節」を祝うのが習慣です。表題の「賀歳」とはお正月のお祝いの意味を含み、「連台本戯」というのはシリーズという意味です。この芝居は春節に公演を定めて続き物として企画されました。 ○
原作はある? 「宰相劉羅鍋」は、もともと個性派俳優・李保田が主演の人気テレビドラマです(VCDが発売されています)。 ○ 豪華な顔ぶれ この芝居は北京京劇院が主体となっていますが、所属団体にこだわらない選りすぐりを集めた舞台です。脚本、作曲、俳優とその顔ぶれは錚錚たるものです。初演の時は特に、俳優陣はスターが勢揃いでそれぞれが流派や個性を全面に出していました。 あらすじ ときは清代、最も隆盛を極めた乾隆帝の治世。
囲碁を楽しむ乾隆帝はかつて自分の囲碁相手だった親戚筋の娘・霞兒が美しく成長したのを聞いて後宮に入れようと望む。 後宮のわずらわしさを嫌う霞兒は、碁で自分を負かした者を婿にすると広く宣伝する。霞兒は次々と来る挑戦者たちを負かしていくが、山東から科挙(役人登用試験)を受けに来た劉yong[土+庸]にとうとう負けてしまう。身分を隠して訪れていた乾隆帝は異議を唱えて劉yongと勝負をする。しかし相手は皇帝で勝負どころではないと知った劉yongは機転を利かせて切り抜ける。 霞兒との結婚を認めてもらうには科挙に首席で合格するのが条件となったが、劉yongは落第する。劉yongは皇帝直筆である「貢院」(試験会場)という文字に手を加えて「賣完」(売り切れ)と書き換え、その咎の申し開きのために召し出される。劉yongはそこで試験問題流出の不正行為があったことを訴えて証拠を突きつける。そして、誰も意味を解すことのできない朝貢国からの書簡を、劉yongはその場で訳し、対策を考え、見事に返事を書き上げた。乾隆帝は改めて劉yongの類まれなる才能に感じ入り官吏として登用することにする。こうして劉yongは晴れて霞兒と華燭の典をあげる。 第二話
劉yong[土+庸]の上司に当たる江蘇巡撫・葉国泰は本来治水工事の予算に当てられている国庫の銀を横領し、30里しかない堤防を300里と偽って報告していた。乾隆帝の巡幸の折に発覚するのを恐れて、江南で評判の美女・吟紅を差し向ける。身をやつして会っていた乾隆帝は吟紅をめぐってケンカになった無頼漢を殺してしまい、劉yongの部下によって牢屋へ入れられしまう。 劉yongは牢屋にいるのが乾隆帝だと知って仰天し、悩んだ挙句一計を案じる。蝋燭一本の明かりだけの相手の顔もよくわからない暗闇の中で取調べを始め、火事を演出して乾隆帝を逃がすように仕向ける。そして逃亡者を追うふりをしてわざと乾隆帝を堤防のほうへ追い込む。夜も明ける頃、300里と聞いていた堤防が30里しかないのを乾隆帝は目の当たりにする。乾隆帝を追ってきた劉yongは捕らえて来た葉国泰を突き出す。こうして劉yongは都へと戻される。
春節の祝いに和珅は国庫から銀六百万両を予算にあてようとする。それを聞いた劉yongは乾隆帝に民情を考慮しない無駄使いだと奏上する。しかし和珅が劉yongの聞き間違いだとしらばくれたために乾隆帝の怒りを買って処分を受ける。 都落ちする劉yongが馬に荷物を載せて運ばせていると、和珅から取り調べを受ける。荷物が金塊だと知った和珅は劉yongを捕らえて押収し、乾隆帝に奏上する。劉yongは先祖代々ためてきたものだと主張し、和珅は賄賂で隠し持っていたものだと訴える。乾隆帝が改めて中身を調べてみるとそれはすべてニセモノであった。実は最初からすべてニセモノで、これは和坤をはめる劉yongの計略であった。乾隆帝はそれをいち早く見抜くが証拠もないので和珅に金塊の賠償を命じる。 和珅は仕方なくそれに応じたがどうしても足りず、召使いたちにまで出させて補おうとする。哀れに思った乾隆帝は和珅の召使いたちに年越しのためにとボーナスを与える。そして劉yongは和珅の差し出した金を江淮の堤防工事に当てることを奏上する。 第四話
乾隆帝が宮殿での生活をつまらなく思っていたところ、和珅は妓楼の女を描かせた油絵を献上する。興味を持った乾隆帝は自分にうりふたつの書生・周慶書を代わりに朝政へ出席させて遅くまで夜遊びに出かけるようになる。奏上は聞くもののその場で詔を発することなく書斎にひきこもってしまう乾隆帝に劉yong[土+庸]は疑問を抱き、油絵を手がかりに乾隆帝の夜遊びの真相を突き止める。 自分の存在を秘密にされて外出もままならない周慶書は憂さ晴らしにこっそり街に出たところ、油絵のモデルである春娘と出くわす。お互い事情がわからずに騒ぎとなり、乾隆帝と劉yong、和珅の三人がこの件を裁決することになる。乾隆帝は周慶書を自分の弟として春娘と結婚させることにする。
仏教に目覚めた乾隆帝は寺を訪問しようとする。しかし実態は仏教が廃れて寺も閑古鳥。和坤は部下に命じてあらかじめ誰とも構わず次々と剃髪し、ニセ僧侶をいっぱい取り揃えていた。その中に優秀ながら科挙に落第してしまい、思いがけず頭を剃られてしまった劉yong[土+庸]の友人・李靖がいた。 乾隆帝に聡明さを気に入られた李靖は、自分が本物の僧侶ではないことを明かす。実は劉yongも視察に来たところを巻き込まれて頭を剃られてしまっており、自分のつるつる頭を証拠に乾隆帝へ和坤の所業を訴えるがうやむやにされてしまう。李靖と結婚を誓っていた娘・怡琴が悲しんでいるのを見て劉夫妻はなんとかしたいと一計を案じる。 霞兒は乾隆帝の元へ訪れて劉yongが怡琴を夫人として迎え入れようとしていると訴える。乾隆帝と和坤は劉yongの思惑を阻止しようと李靖を還俗させて怡琴と結婚させることにする。こうして乾隆帝が李靖の媒酌人として婚礼が執り行われることになる。 第六話
詩を詠むのがマイブームの乾隆帝、劉yong[土+庸]と対句を詠みあって楽しむ日々。昔から文化人が自分の著作を本にするのはよくあること。あるとき霞兒が編纂した劉yongの書にそうとは知らずに乾隆帝が詠んだ詩を載せてしまう。それを知った和坤は不敬罪だとして劉yongを牢屋に入れてしまう。乾隆帝は自分で判断を下すようにと自ら劉yongへ剣を渡す。 家へ戻った劉yongは家族との今生の別れを歎く。様子を見にきた乾隆帝と和坤の前で、劉yongは意を決して鞘から剣を抜く。それはまばゆい刃・・・ではなく、「冗談だよ〜」と書かれた布がハラリ。それを見て乾隆帝はひっかかったと喜ぶ。こうして一同楽しく正月を迎えるのであった。
公演を重ねる度に少しずつ改良されているところもありますが、以上が芝居の大筋です(これらについて私なりに分析をして論文として詳細にまとめたのですが、残念ながら未発表です)。VCDも発売されています。ギャグ満載のお正月にふさわしい実におめでたい、面白いお芝居です。 |
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2003/01/31